冷凍方法については急速冷凍がいい事が知られています。
従って現在の冷凍品の多くはかなり低い温度で急速に冷凍されています。
しかし解凍についてはどうでしょう。
あまり気にされていないのではないでしょうか。
解凍も急速解凍がいいという事が判って来ています。
一般家庭では自然解凍、チルド解凍、流水解凍、電子レンジ解凍等が行われていると思います。
自然解凍は時間が掛かり、放置したままになりやすいので解凍しすぎになり鮮度が落ちやすい。
チルド解凍は自然解凍よりも時間が掛かる。只チルドなので解凍しすぎは無くなる。しかし時間が掛かる分、ドリップが出やすい。
流水解凍は早いがある程度そばについていなくてはならず、水道代もかかる。
電子レンジ解凍はそのまま加熱して調理する場合はいいが、そうではない場合は解凍ムラが出来やすい。
場合によっては冷凍のままの部位があったり、解凍された部位があったり、更に加熱され煮えた部位があったりすることになる。
急速解凍すればドリップが出にくい事が分かっています。
しかし解凍を早める為に高い温度をかけると解凍オーバーとなり鮮度が落ちる原因となります。
急速解凍とは冷凍品を最短時間で0~ー3℃にすることです。
そこでどうするか。
そこで冷凍品が持っているマイナスの温度を速やかに放熱すればいいわけです。
放熱を速やかに行うには熱伝導率の高い物質と接触させるのがいいわけです。
熱伝導率の高い順に述べると、
カーボンナノチューブ (3000-5500)
ダイヤモンド (1000-2000)
銀 (420)
銅 (398)
金 (320)
アルミニウム (236)
鉄 (84)
水 (0.6)
空気 (0.0241)
となっている。
ダイヤモンドや銀、金などは高価すぎてとても使えません。
銅はいいんですが腐食しやすいので、現実的なところアルミニウムを使おうと思います。
空気は完全な断熱材と言えるほど熱伝導率が悪い。
自然解凍は急速解凍の点からすると最悪と言える。
方法としてまずアルミに冷凍品の熱を伝えます。
それだけでは大きな熱容量つまりアルミの体積が多く必要なので少なくて済む、表面積を増やす為に多くのフィンを付けた放熱器を使い熱を空気中に放熱します。
まだそれだけでは足りないのでフィンにファンによる風を当て放熱効果を高めます。
このような方式で急速解凍機を作ろうと思います。
放熱器46.2×50×21を20個使い4×5に組みます。
放熱器と放熱器の間にt2×20のアルミバーを挟み放熱器を4個連結します。
実際に組む場合には、まずアルミバーに放熱器を5個組み、アルミバーを挟んで放熱器を5個取り付けしっかりとネジを締めます。
放熱器と放熱器の間の熱伝導を良くし、全体を一つの放熱器として一体化する為に放熱用シリコーンを放熱器の組み付け部分に塗りました。
まず10個連結します。
そして15個を連結。
最後は20個連結して完了です。
反対面は真平になるように組み立てました。
ここに被解凍品を置くためです。
両端にL20×20×t2のLアングルを取り付けました。
このような感じになります。
ゴム足を4個取り付けました。
40mm角のファンを取り付けるためのLアングルを加工しました。
40mm角のファンを4個取り付けました。
ファンを組み込みました。
これは放熱器の周りの空気を吸いだす為の吸引用です。
これは放熱器に風を吹き付ける為のファンの取付けアングルを加工したものです。
60mm角ファンを3個取り付けました。
これで放熱器のフィン及び角バット(冷凍品)に風を吹き付けます。
Φ2.1 DCジャックを取り付けました。
DC12V電源入力用です。
右側に電源スイッチとタイマーを取り付けました。
タイマーは1分、10分、1時間、10時間のマルチタイマーです。
切り替えて使います。
通常は最大1時間で使用。
正面全体です。
右側面です。
タイムアップした時に音で知らせるためにブザーも取り付けました。
また、タイムアップするとファンも停止します。
後面です。
排気用の40㎜角ファンを4個取り付けてあります。
天板面です。
ここに冷凍品を置きます。
右側面です。
底面です。
フィンの間を風が通り抜けるようになっています。
60×76×15mmの放熱器を8個用意します。
t3mmのアルミ板に放熱器を取り付け中央に取っ手を付けました。
冷凍品を解凍すると結露水が出たり、ドリップなどが漏れ出る可能性があるので通常は、265×205×43mmのアルマイト製角バットに冷凍品を入れて解凍します。
冷凍品の上に放熱器の蓋を載せ冷凍品の上面と下面から放熱します。
形状が複雑な冷凍品の場合はバットの中に水も入れ蓋をして解凍します。
ACアダプターです。
DC12V2Aを使います。
車の中でも使えるようにシガーライターソケット用プラグとΦ2.1DCプラグを接続しました。
アルミ角バットに氷を10個入れ完全に溶けるまでの時間を測りました。
室温24℃
36分。
急速解凍機の上にアルミ角バットを載せ氷を10個入れて急速解凍機を動作させて完全に氷が解けるまでの時間を測りました。
10分。
急速解凍機の上にアルミ角バットを載せ氷10個を入れその上に放熱蓋をかぶせて急速解凍機を動作させ、氷が完全に溶けるまでの時間を測りました。
6分。
自然解凍に比べ6分の1になっていますが、アルミ角バットに載せていてこの数字ですので、場合によっては10分の1ぐらいに解凍時間を短縮できると思います。
マグロのサクで実験してみました。
この上に放熱蓋をかぶせ動作させたところ約10分で解凍できました。
12分。
アミブロックを2個解凍しました。
ブロック状で2番目に広い面を天地にした場合は3個載せられます。
放熱器の蓋をします。
1時間半で粉砕器で簡単に粉砕できる半解凍の状態になります。
2時間で完全に解凍出来ます。
ドリップはほとんど出ません。
ここで正直に告白すると、本当の目的としてアミブロックを解凍する為に急速解凍機を考えたのです。
従って角バットのサイズはアミブロックが2個入るサイズを選び、角バットに合わせた放熱器のサイズと個数を決定したのです。
全体の寸法もアミブロックのサイズが基本となっています。
また12V仕様にしたのも車の中で使えるようにするためです。
釣り場まで距離がある場合は出発してから急速解凍機を動作させても釣り場に着いた時に解凍できています。
その他、その日に使う分を全て解凍する必要がありません。
釣りをしていて余り釣れなくて解凍したコマセが余ってしまって困ったことが良くあります。
急速解凍機が車の中にあれば、最初1,2個解凍しておいて釣れ具合により釣っている間に次の分の追加解凍が出来ます。
従って凍ったままのアミブロックを持っていけば、使う場合はその場で解凍でき、使わない場合は凍ったままで持ち帰れます。
昨日ニシン釣りに行ったのですが、仕事が終わった後に釣具店でアミブロックを購入し自宅で解凍して釣り場に向かいましたがすぐ使える状態にまで解凍出来ました。